直流電圧波

分布定数回路において,伝送線路の特性インピーダンスと伝送線路の終端のインピーダンスが異なるなど,入射波に対する反射波が存在する。

下図に示すように内部抵抗\(R_0=150\)[Ω],起電力\(E_0=20\)[V]の直流電源を終端開放の無損失伝送線路(特性インピーダンス\(Z_0=50\)[Ω],波の伝搬速度\(u_p=2×10^8\)[m/s],長さ\(l=2\)[m])に接続した場合,線路上を伝搬する電圧波の様子は次のようになる。

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今電源を接続する瞬間を\(t=0\)とする。
 (1)\(t=0\)で\(x=0\)の点(送端)を出発する電圧波の大きさ\(E_1\)は
\[E_1=\frac{Z_0E_0}{Z_0+R_0}=\frac{50×20}{50+150}=5[\rm V]\] である。 この5Vの大きさの電圧波は\(x\)の正方向に速度\(u_p\)で伝搬し,\(x=l\)の受端に達するには\(T=l/u_p\)[s]要することになる。すなわち \[T=\frac{2}{2×10^8}=10×10^{-9}=10[\rm ns]\] \(t=0\)から\(10\)nsの間は電圧波は上図(b)に示すように線路上を右へ向かって進行する。

 (2)受端(\(x=l\))に達した電圧波は反射係数が\(r_v=1\)であるので,そのままの大きさで反射し受端の電圧は2倍になる。左方(電源方向)に進行する波はすでに観測されている\(5\)Vの上に重なった,さらに\(5\)Vの反射波である。この状態は\(t=10~20\)nsの間続く。

 (3)受端からの反射波は送端(\(x=0\))に達して再び反射する。このときの反射係数は線路から電源の内部抵抗を見込んで \[r_v=\frac{R_0-Z_0}{R_0+Z_0}=\frac{150-50}{150+50}=0.5\] となり,\(5\)Vの半分の\(2.5\)Vが受端へ向かう。

 (4)受端に達した\(2.5\)Vの波は再び反射係数が1であるからそのまま反射する。したがって受端電圧は \[5+5+2.5+2.5=15[\rm V]\] となる。以下同様に反射を繰り返し,最終的に \[5+5+2.5+2.5+1.25+1.25+…=20[\rm V]\] 電源と同じ電圧に充電される。


分布定数回路

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