電磁誘導


Chapter1-S ~電磁誘導~




電磁誘導
一般的に交通系ICカードや、携帯電話の充電などで使用される非接触給電を考えてみる。
動画の装置は、非接触給電の簡単な装置である。近年多く利用される非接触給電装置は電磁誘導方式を利用している。名前の通りであるが、この方式の基礎は電磁誘導である。
電磁誘導の基礎の基礎は、下図のようにコイルと磁石を近づけたり遠ざけたりすると、コイルに電流が流れる現象である。
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この時、コイルや磁石を動かさなければ電流は流れない。磁石を動かすことで、磁石の磁界から発生する磁束が変化するため、コイルには電流が流れる。 この現象を電磁誘導といい、生じた電圧を誘導起電力、流れた電流を誘導電流という。

磁束は、磁界を方向と強さの2つの成分があると考えたとき、その線を束ねたものであり、\(\varPhi\)[Wb]と表す。

ある面積S[m2]を磁束が通過する時、その面積上での磁束密度を\(\boldsymbol{B}\)[T]とおいたとき、
\[\varPhi =BS\]
と表せる。磁束の大きさは、面積S[m2]とそれを通過する磁束密度の積から求められる。また、磁束密度の単位[T:テスラー]は、[T]=[Wb/m2]と表せる。
電磁誘導は磁石を近づけたり遠ざける、これによってコイルを通過する磁束が変化している為に起こる現象である。 \[\varPhi_{em} =-k\frac{\Delta\varPhi}{\Delta t}\] \(\varPhi_{em}\)は、コイルに発生する磁束を示す。右辺に-があるのは、誘導電流が磁束を妨げる方向、すなわち反対方向に流れるからである。 この式は、電磁誘導が発生する時、コイルに発生する磁束\(\varPhi_{em}\)は、コイルを通過する磁束が時間変化する(\(\frac{\Delta\varPhi}{\Delta t}\))ことによって発生することを示す。次に時間を限りなく0に近づけた時、 \[\varPhi_{em} =-k\frac{\mathrm{ d\varPhi }}{\mathrm{ dt }}\] kは比例定数である。ここで、起電力とはコイルを一周した時単位電荷の粒子が得るエネルギーだから \[\varPhi =\displaystyle \int_{ C_{0} }^{} \boldsymbol{E}・d\boldsymbol{s}\] となる。磁束は、コイルに囲まれた部分の磁界の量であり、曲面の法線ベクトルを\(\boldsymbol{n}\)とすると \[\varPhi =\displaystyle \int_{ S}^{} \boldsymbol{B・n} dS\] となる。この2式を用いて考えると、 \[\displaystyle \int_{ C_{0} }^{} \boldsymbol E・ds=- \displaystyle \int_{ S}^{}\frac{ \partial \boldsymbol{B} }{ \partial t }\boldsymbol{・n}dS\] となる。この式の左辺を面積に対する積分として考えると、 \[\displaystyle \int_{ S }^{} \boldsymbol E・ds=-\frac{ \partial {\boldsymbol{B}} }{ \partial t }\] となる。これは、ある閉ループを磁束が通過する時、磁界の変化とループ」に沿って発生する電界の関係を表せいている。この式をファラデーの電磁誘導の法則という。 ストークスの定理\(\displaystyle \int_{ C_{0} }^{} \boldsymbol A・ds=\mathrm{rot}\boldsymbol{A}\boldsymbol{・n}ΔS\)を用いて今度はこれを微分の形で示すと、 \[∇×\boldsymbol{E}=\mathrm{rot}\boldsymbol{E}=-\frac{ \partial {\boldsymbol{B}} }{ \partial t }\] となる。∇はベクトル演算子であり、ベクトルの回転rotは∇のベクトル積で示すことができる。これはファラデーの電磁誘導の法則の一般形であり、マクスウェル方程式の一つである。 この式は、以下のことを示している。
発生する電流を\(\boldsymbol{E}\)とし、磁束密度を\(\boldsymbol{B}\)とおいたとき、磁束密度は時間に対して変化をするから微分を用いて、 \[\frac{ \partial {\boldsymbol{B}} }{ \partial t }\] 上の図のようにコイルを磁石の磁束が通過するとき、磁石の磁束に対して逆らう向きに、右ねじの法則により電流が発生する。つまり、電流は磁束に対して逆方向に、回転して現れるから、 \[\frac{ \partial {\boldsymbol{B}} }{ \partial t }=-\mathrm{rot}\boldsymbol{E}\] となる。\(\mathrm{rot}\boldsymbol{E}\)は電流が回転して現れることを、ベクトルで表したものである。この式を電流に対する式にしたものが \[\mathrm{rot}\boldsymbol{E}=-\frac{ \partial {\boldsymbol{B}} }{ \partial t }\]

~コーヒーブレイク~

あの頃教科書に載っていた、あの実験から磁界を視てみよう!?

残念ながら、磁束や磁力線は肉眼では見ることができないが、コイルに磁石を近づけることで、電流が流れる電磁誘導の現象から確認できる。 電磁誘導といえば、中学校で学ぶ理科でも紹介されるほど有名な現象である。

磁石がコイルに対して平行、つまりコイルを通過する向きにあるとき、電流が流れる。しかし、垂直になるときは流れない。
これはコイル内を磁束が通過するかしないかの違いによるものである。


~電磁誘導~

Chapter1~磁界における基礎~



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