電荷間には物体間に働く力、すなわち万有引力に比べ非常に大きな力が働くことが発見された。しかしながらそれがただ大きいという感覚的に考えることしかできなかった。
これをヘンリー・キャヴェンディッシュが実験行い、後にシャルル・ド・クーロンがこれを法則化した。
それがここで説明する
クーロンの法則である。
また、電荷間に働く力を
クーロン力と呼ぶ。
まずは、物体間に働く力と電荷間に働く力について説明を行う。
物体間に働く力と電荷の間に働く力
物体間には質量に応じた力が発生している。それを
万有引力という。
それではまず、引力として有名な、地球と月の引力について考えてみよう。
動画のように地球とその周りに衛生の月、そして人工衛星が回っていると考えよう。この時の地球の質量を\(M\)、月の質量を\(m\)、人工衛星の質量を\(m_2\)とし、地球と月、地球と人工衛星、人工衛星と月の距離をそれぞれ\(r_1\)、\(r_2\)、\(r_3\)とする。
この時、万有引力を求める式は、
\[F=G\frac{M_1M_2}{r^2}\]
である。これにそれぞれの値を入れると、地球と月、地球と人工衛星、人工衛星と月の間に働く力をそれぞれ\(F_1\)、\(F_2\)、\(F_3\)として
\(F_1=G\frac{Mm}{r_1^2}\) \(F_2=G\frac{Mm_2}{r_2^2}\) \(F_3=G\frac{mm_2}{r_3^2}\)
となる。このときの\(G\)は比例定数であり、この場合は万有引力定数であり、
\begin{align}
G=6.678259×10^{-9} \rm [m^3・s^{-2}・kg^{-1}]
\end{align}
である。
次にクーロン力を求めていく。といっても考え方は万有引力とほぼ同じ方法で良い。
動画のように、ある空間上に2つの電荷があり、それぞれの値は\(q_1\)、\(q_2\)で、間の距離は\(r\)である。
クーロン力の式は、
\[F=K\frac{q_aq_b}{r^2}\]
である。これに値を代入すると、電荷間のクーロン力\(F\)は、
\[F=K\frac{q_1q_2}{r^2}\]
となる。このときの\(K\)は比例係数である。
比例定数\(k\)は\[K=\frac{1}{4\piε_0}\]と表される。
したがって、先ほど述べた式は
\[F=\frac{q_1q_1}{4\piε_0r^2}\]
と書き換えられる。\(ε_0\)は真空の誘電率であり
\begin{align}
ε_0=8.854187×10^{12} \rm [C^2/(m^2N)]
\end{align}
となる。
一見すると万有引力のほうが強く見えるが、実際はクーロン力のほうが大きい。
たとえば、下敷きで静電気を起こして髪の毛に近づけると、髪の毛は下敷きの方向に逆立つが、人と人の間にある万有引力は感じとれる人はいないであろう。
これは、人と人の間に働く力が、感じ取れるほどに大きくなく、十分に小さいためである。逆に、クーロン力は摩擦で起こした少しの電荷であっても、感じ取れるほどに大きい力働いている。
ただし、万有引力とは違い、クーロン力は電荷の符号によって力の向きが異なる。それらのまとめ下に示す。
①電気力は直線ABに沿って働く。
②作用・反作用の法則が成り立つ。すなわち、\(q_a\)に働く力と、\(q_b\)に働く力とは大きさが等しく、向きは逆である。
③力の大きさは両電荷の積に比例し、距離rの2乗に反比例する。\(K\)は比例定数である。
④\(q_aq_b\)>0なら斥力(反発力)、\(q_aq_b\)<0なら引力が働く。
クーロン力のSI単位系では、力の単位であるニュートン[N]であり、電荷の単位としてはクーロン[C]を用いる。
なお、クーロンの式の比例定数部分は真空中であれば、
\[K=\frac{1}{4\piε_0}=9.00×10^9\rm[Nm^2/C^2]\]
と書くことができる。式に代入して
\[F=(9.00×10^9)×\frac{q_aq_b}{r^2}\rm[N]\]
という形になる。真空であるならば実際の計算の時にこれを用いても良い。
ただし、真空というのはあくまで特殊な場合である。
~例題~
~問題~
さて、ここまで電界の肝になるクーロンの法則を説明してきた。
ここではクーロン力の大きさを表す式を紹介した。
しかし、実際「力」とは「方向」と「大きさ」の関係があり、
ベクトル量として扱う必要がある。
実際電荷の符号によって方向が変わるのもこれが理由である。
次に今まで紹介したクーロンの法則のベクトル表示について説明する。
~クーロン~
~クーロン力のベクトル表示~
Chapter1~電界における基礎~
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