ベクトル表示とは
電荷間にはクーロン力と言われる力が発生する。
別のページではこの力の大きさについて式を示して説明した。
しかし、クーロン力は
力であるため、「大きさ」だけでなく「方向」も定義する。
このため
ベクトルで示す必要がある。これから説明するベクトルを用いた式などをベクトル表示という。
クーロン力のベクトル
今二つの点電荷\(q_i\)と\(q\)とがあるとしよう。ここで、
\(F_i\):電荷\(q_i\)から他の電荷\(q\)に働きかける力
とするとその方向は\(q_iとq\)の方向で、その向きは
\(q_i・q>0\) ならば \(q_i→q の向き\)
(同符号ならばはねとばし)
\(q_i・q<0\) ならば \(q_i←q の向き\)
(異符号なら引きつけ)
と考える。
下図に示すように、電荷\(q_i,q\)のそれぞれの存在する場所の位置ベクトル(どこかに原点Oを設定して)を\(r_i,r\)とすると、
\(q_i\)から\(q\)に向かうベクトルは\(r-r_i\)である。よって、この方向を表す単位ベクトルは、\(\frac{r-r_i}{r-r_i}\)となる。
これを用いて、クーロン力の式をベクトル表示にすると、
\[F=\frac{q_aq_b}{4\piε_0r^2}\]
\[F_i=\frac{1}{4\piε_0}\frac{qq_i}{|r-r_i|^2}\frac{r-r_i}{|r-r_i|}\]
となる。これがよく言う一般系の式である。
ちなみに、少しまとめて
\[F_i=\frac{qq_i}{4\piε_0}\frac{r-r_i}{|r-r_i|^3}\]
と表記しても良い。
次に、これを深く説明するために、直交座標(\(x,y,z\)座標)表示をする。
この表記は、ベクトル量を各成分ごとに分けて考えることができる。
位置ベクトルを\(r=(x,y,z)\)、\(r_i=(x_i,y_i,z_i)\)とすると、
\[F_i=\frac{qq_i}{4\piε_0}\frac{(x-x_i,y-y_i,z-z_i)}{|r-r_i|^3}\]
と表記できる。
この点電荷が\(i=1、2、3、…、n\)というように、複数ある場合、位置\(r\)にある電荷\(q\)の受ける力\(F\)は、\(n\)個それぞれの力\(F_i\)の合成になる。
式で表すと
\[F=\sum_{i=1}^nF_i=\frac{q}{4\piε_0}\sum_{i=1}^n\frac{q_i(r-r_i)}{|r-r_i|^3}\]
となる。
これが電気における合成則である、
重ね合わせの原理である。
このように、一つの点電荷に対する力は複数の点電荷から受ける力はベクトル的な和で与えられ、ほかの電荷の存在
がこの電荷間の力に影響を与えないということは、決して自明なことではなく、実験事実に基づく定量的な事柄なのである。
~クーロン~
~クーロン~
Chapter1~電界における基礎~
Chapter2~電界のベクトル表示~
項目一覧へ