静電界


Chapter2 ~電界のベクトル~



電界のベクトル表示
Chapter0でも説明したが、電界とは電圧が印加された空間(場)の事をいう。 電界は考え方的に力であり、電圧が高いほど強く、低いほど弱い。また電界の発生源に近づくほど強く、電界の発生源から離れると共に弱まる。

ここで、簡単に考えるために電界で登場するクーロンの法則のベクトル表示の式 \[F=\frac{q_aq_b}{4\piε_0r^2}\] \[F_i=\frac{1}{4\piε_0}\frac{qq_i}{|r-r_i|^2}\frac{r-r_i}{|r-r_i|}\] \[F_i=\frac{qq_i}{4\piε_0}\frac{r-r_i}{|r-r_i|^3}\] を用いる。
ここで、力Fと電界Eの関係は \[F_i=qE_i(r)\]
となる。
これを用いて式を電界Eに対する形に変形すると \[E_i(r)=\frac{qq_i}{4\piε_0q}\frac{r-r_i}{|r-r_i|^3}\] \[= \frac{q_i}{4\piε_0} \frac{r-r_i}{|r-r_i|^2}\] となる
この式から電界Eは、電荷\(q\)の有無にかかわらず、点電荷\(q_i\)から位置rの空間の歪と言う形で作られる。 そして、たまたまその位置\(r\)に電荷\(q\)がやってくると\(qE_i(r)\)だけの電気力(クーロン力)を受ける。 この空間の歪みを示すベクトル量\(E_i(r)\)のことを電界という。また、これはその場所\(r\)に存在する物理量なのである。

ここで、電界を示す単位について考えてみよう。
先に述べたように電界の式は、 \[E_i(r)= \frac{q_i}{4\piε_0} \frac{r-r_i}{|r-r_i|^2}\] である。
この式から単位は[N/C]という形になるが、電位を示す[V]を用いて[V]=[J/C]から
[N/C]=[J/(C・m)]=[V/m]
という関係が成り立つ
わかりやすいためこの[V/m]が使用される事が多い。
また、複数の点電荷が分布している場合の電界は、クーロンの力の時と同様に重ね合わせの原理によって
\[E =\sum_{i=1}^{n} E_i(r)\] \[= \frac{1}{4\piε_0} \sum_{i=1}^{n}\frac{q_i(r-r_i)}{|r-r_i|^3}\]
となる。
言ってしまえば、ベクトルの合成である。


さて、ここまでベクトル解析を用いて電界を式で定量的に表すことができた。
次の章では、この電界を感覚的に簡単に考えるために、よく用いいられる方法について説明しよう。
もしベクトルの考え方がわからないという方は、もう一度ベクトルの基本知識から確認してみても良いかもしれない。
Chapter0~ベクトル~
~問題~


~電界のベクトル表示~

Chapter3 ~電気力線と電束~
Chapter1~電界における基礎~



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