他の章では電界を定量的にすなわち式で表してきた。
しかし、電界は定量的に表せる物理量でありながら目に見えない為、直感的に考えにくい。
そこで用いるのが
電気力線である。
電界と電気力線
電気力線とは、空間の各点での電界ベクトルを連ねた曲線をいう。
よくわからないであろうから詳しく説明する。
電界は他の章で説明したとおり、空間上の様々な点でベクトル量、すなわち方向と大きさを併せ持つ量で表されるが、空間上にはほぼ無限個存在するためこれをすべて表記するのは現実的でない。
そこでこれらの点を繋いで一本の線としたものが
電気力線であり、各点でのベクトル量はこの電気力線の
接線が対応する。
また、正電荷が空間上にある時、その電荷から電気力線は放射状に広がる直線群になる。
さて、そんな電気力線の性質を以下にまとめる。
①電気力線は必ず正電荷から発生して負電荷で消滅する。
②電気力線の接線は、接線を取った点のベクトルの値に等しい。
③電界が0とならない点では、電気力線は交わることはない。
④電気力線は単体で閉じた円になることはなく、また途中分岐や合流することはない。
⑤電気力線の向きは電界の方向に、密度は電界の大きさを示す。
⑥電気力線は等電位線と垂直に交差する。
ここまで、電気力線の性質について説明した。次にこの電気力線を定量化するために、これを束ねた電束と式について説明する。
電束
先に述べたが、電気力線の方向は電界の方向、密度は電界の大きさに対応している。
電束とは、
電気力線を
束ねたものである。
では次にこの電束を用いて定量的に表そう。
次のことが導かれる。任意の面積要素\(dS\)を取り、
それに垂直な単位ベクトルを\(\boldsymbol{n}\)、その点の電界\(\boldsymbol{E}\)と\(\boldsymbol{n}\)とのなす角を
\(\theta\)とする。。このとき、\(dS\)を通る電気力線の数を
\(dΦ_e\)とすると
\[dΦ_e=EdS\cos\theta=\boldsymbol{E・n}ds \]
\(dΦ_e\)は\(dS\)面を通る電気力線束(電束)とも呼ばれる。単位ベクトル\(\boldsymbol{n}\)の向く方向を\(dS\)の
表方向とする。\(dΦ_e>0\)であれば、電気力線は裏から表方向に通る。
一般の面\(S\)を通る電気力線の数\(Φ_e\)は、上式の\(dΦ_e\)を\(S\)全面で面積分すればよい。すなわち、
\[Φ_e=\int_S \boldsymbol{E・n}dS=\int_SE_ndS\]
ここで、\(E_n=\boldsymbol{E・n}ds\)は\(dS\)に垂直な\(\boldsymbol{E}\)の成分である。
さて、ここまで電気力線と電束について説明してきた。次のステップとしては電位という話となるが、電気力線を表す重要な法則があることも忘れてはならない。
次のステップの前にガウスの法則についても以下のページで説明しよう。
~電気力線と電束~
Chapter~ガウスの法則~
Chapter4~電位~
Chapter2~電界のベクトル~
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磁力線と磁束
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