磁界は物理量でありながら目に見えない為、直感的に考えにくい。
そこで用いるのが
磁力線である。
磁界と磁力線
磁力線とは、空間の各点での磁界ベクトルを連ねた曲線をいう。
よくわからないであろうから詳しく説明する。
磁界は、空間上の様々な点でベクトル量、すなわち方向と大きさを併せ持つ量で表されるが、空間上にはほぼ無限個存在するためこれをすべて表記するのは現実的でない。
そこでこれらの点を繋いで一本の線としたものが
磁力線であり、各点でのベクトル量はこの磁力線の
接線が対応する。
さて、そんな磁力線の性質を以下にまとめる。
①磁力線は必ずN極から拡散してS極で収束する。ただし、消滅することはなく、再びN極から拡散する。
②磁力線の接線は、接線を取った点のベクトルの値に等しい。
③磁界が0とならない点では、磁力線は交わることはない。
④磁力線は単体で閉じた円になることはなく、また途中分岐や合流することはない。
⑤磁力線の向きは磁界の方向に、密度は磁界の大きさを示す。
ここまで、電気力線の性質について説明した。次にこの電気力線を定量化するために、これを束ねた電束と式について説明する。
磁束
先に述べたが、磁力線の方向は磁界の方向、密度は磁界の大きさに対応している。
磁束とは、
磁気力線を
束ねたものである。
では次にこの磁束を用いて定量的に表そう。
次のことが導かれる。任意の面積要素\(dS\)を取り、
それに垂直な単位ベクトルを\(\boldsymbol{n}\)、その点の磁界\(\boldsymbol{B}\)と\(\boldsymbol{n}\)とのなす角を
\(\theta\)とする。。このとき、\(dS\)を通る磁力線の数を
\(dΦ_m\)とすると
\[dΦ_m=BdS\cos\theta=\boldsymbol{B・n}ds \]
\(dΦ_m\)は\(dS\)面を通る磁力線束(磁束)とも呼ばれる。単位ベクトル\(\boldsymbol{n}\)の向く方向を\(dS\)の
表方向とする。\(dΦ_m>0\)であれば、磁力線は裏から表方向に通る。
一般の面\(S\)を通る磁力線の数\(Φ_m\)は、上式の\(dΦ_m\)を\(S\)全面で面積分すればよい。すなわち、
\[Φ_m=\int_S \boldsymbol{B・n}dS=\int_SB_ndS\]
ここで、\(B_n=\boldsymbol{B・n}ds\)は\(dS\)に垂直な\(\boldsymbol{B}\)の成分である。
さて、ここまで磁力線と磁束について説明してきた。
磁力線と磁束線と言うものが存在する。
次はこれについて説明を行う。
~コーヒーブレイク~
「磁石から発生する、磁力線の始点と終点ってどこにある?」
磁石を真っ二つに折った時、折ったそれぞれにN極S極があることは、小学校理科から高校物理に至るまで紹介されるほどの一般的でかつ有名な話だと思う。では、ここでは磁力線の始点と終点はどこにあるかについて考えてみよう。

一般的に磁力線はN極から発生して、S極に収束すると考えられている。では本当にそうなるだろうか考えてみよう。まず、磁石を真ん中で割ったと仮定してみよう。
動画のように、一般的な認識の場合、物理としての定理が成り立たないため、これはありえないとなる。物理的な意味ってなんだろうってかんじた方は、水路を考えてほしい。
発生源から海まで何も増える要因がないのに、初めに流した量より増えていたらおかしいでしょう。無からは何も生まれないのは当然である。
電気磁気学的に言えば、電界で出てくる電荷は正電荷(+)と負電荷(-)で分けることができる。身近に起きる現象としては、乾燥した時期に、バチッと来て嫌な思いをする人もいる静電気だろう(著者もその一人だったりする)。
電界では電気力線は正電荷から発生して、負電荷に収束することもわかっているが、磁界では磁力線に対してこれに類似したことが言えない。
一方で、磁石の中を磁力線が通過していると考えた時、真っ二つにした時、端の部分に「磁力線の入口出口ができるため」、と考えればN極S極ができる。
これは、新たに発生しているわけではなく、通過している物の出口と入口が増えるだけなので、物理的に見ても問題はない。
結論:磁石における磁力線はループするので、始点と終点は存在しない
~磁力線と磁束~
Chapter3磁束線
Chapter1~磁界における基礎~
類似項目
~電気力線~
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